エコロジーライフ花/カタログ/装 -身だしなみとおしゃれ-
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       浜口義則さんの吹きガラスは、1回見たら忘れられない印象を残します。
       どれも存在感のある肉厚のフォルムで、色を使わず澄み切ったガラスは氷を彫刻したかのよう。
       涼しげでありながら、手づくりのぬくもりも感じられます。
       浜口さんの工房「ガラス工房葦路」とエコロジーライフ花は10年以上のお付き合いです。



「ガラス工房葦路」は、埼玉県秩父市の山里にあります。

工房を訪ねて、見落としそうな道を下ると、
荒川の源流となる小さなせせらぎが
澄んだ水音を響かせていました。



葦路という名前はフランシスコ修道会を創設した
「アッシジの聖フランチェスコ」に由来します。
その愛と清貧の生涯に、深く感銘を受けたのだそうです。

福岡県生まれの浜口さんは30歳でガラス工芸の道に。
12年前、結婚を機に独立。
そしてこの自然豊かな場所に工房を構えたのだそうです。
森の中で、火を友としてガラスに命を吹き込む作業は
聖フランチェスコの一途さに通じるかもしれません。



ガラスの主原料はケイ砂です。
溶かした時に対流をよくするため、重曹も入れます。
これをるつぼでドロドロに溶かし、ステンレス製の
パイプで巻き取って息を吹き込みます。






息を吹き込んでは成形する作業を繰り返して
形ができたら、ガラスが柔らかいうちに
もう一本のパイプを反対側につけます。
こちらが底、息を吹き込んだ側が口になります。
それから口の部分を切り離し、形を整えます。
作業にかかる時間は、グラス一個に約12分。

とくに、巻き取ってから数十秒が勝負です。
もたもたしていると、ガラスはすぐに固まり始めます。
目と、竿から伝わる感触を頼りに
ガラスの動きを追いかけていく工程は、
「まるで生き物を扱うよう」と浜口さん。
「こちらの体調が悪かったり集中できないと
ガラスの動きについていけないんです」。
1 日に集中して吹けるのは 6 時間程度だそうです。
浜口さんの作風には、 2 つのタイプがあります。
その一つは、金属を入れたガラス。
入れる金属は、金、銀、プラチナの3種類。
ガラスの中で、封じ込められた金属が光に当たって
キラキラと輝いています。

パイプにガラスを巻き取ったら
すぐに金属の箔を巻きつけるため、ガラスと金属
という異なる物質が美しく一体化します。
息を吹くと、箔が細かくちぎれてガラスの中に散ります。
華やかな銀、柔らかく癖のない金、渋い感じのプラチナ。
金属の表情はそれぞれ違います。
面白いことに、ガラスを吹いていると、
金属の性質がガラスに移っているのが
確かめられるのだそう。

「プラチナを入れると粘っこく
金は柔らかになりますね」。
もう一つの作風は、三角形のグラス。
とはいっても、三角形は底の部分だけ。
丸い口に向かってぐにゃりと立ち上がる、
そのフォルムはとても有機的です。

この形、実はミケランジェロの彫刻
「未完のピエタ」に触発されたのだそうです。
イタリアを旅していた浜口さんは、この像の前で
動けなくなったと言います。
それほど感動した像をガラスで表現したいと、
何年もつくり続けています。


浜口さんは、自分の作品を日常生活で
どんどん使ってほしいと言います。
厚みがあるガラスは、安心して触ったり
洗ったりできます。
素材の質感を生かした素朴で清澄な器たちは、
工房の前を流れるせせらぎを思い起こさせます。

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